部屋ごとに現代アートの歴史が学べる画期的な展示方法
現代アートのビッグスターたちが部屋ごとに展示されているとすごい企画。今回のSTARS展に出品されている顔ぶれで作品を見ることは滅多にないかと思います。目に焼き付けるように鑑賞すること必須です。
1部屋目:なんと言ってもマイロンサムカウボーイ【村上隆】
現代アートファンにはたまりませんね。いきなり《Ko2ちゃん(プロジェクトKo2)》がメイドカフェの店員のごとくお出迎えしてくれます。スカートが短い…日本のオタク文化万歳!
一歩踏み入れるとオタク文化と日本伝統の文化をミックスさせたような作品が並びます。海外の個展で公開された巨大な鼻毛ボーぼーな鬼の像やどっしりと、そして海外オークションで1500万ドルで落札されて有名となった《マイ・ロンサムカウボーイ》まで展示されているではないですか。よくみると何か出ていますね…
圧巻なのは森美術館の展示スペースの天井高目一杯まで利用した新作2点。富士山《チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN》とお花《ポップアップフラワー》ペインティングは圧巻です。
富士山ペインティングでは村上隆さんの産み出したキャラクターのDOBやカイカイ、キキなどオールスターが描かれ、大人気のお花にはプラチナ箔が使用されている部分があったりします。ぜひ作品をじっくり細部まで鑑賞して探してみましょう!
あっ、入って左側に映像作品《原発を見にいくよ》が展示してあります。8分8秒というコンパクトな映像作品なので見落とさないようにしてくださいね!
2部屋目:余白の美がたまらない【李禹煥(リ・ウーファン)】
部屋に入ってすぐ展示されているこの作品はなんと森美術館にガラス板と石を搬入してこの場で制作された作品です。石をジャッキで持ち上げてガラスにガチャンと落とす感じで。工業製品のガラスと自然界にある石がぶつかり合った結果にできる波動のようなものを表現しているのでしょうか。落ち着く空間にヒビがある作品が展示されていると緊張感が出ますね。
写真で気がついたかもしれませんが、展示内ですがフローリングではなく白砂利が引いてあるんです。あたかも神社のような神聖領域に足を踏み入れるかのよう。ヒールの方は要注意かも!
奥には大きなキャンバスに大きな平筆ですすっと描かれたような作品が並びます。近くによると何回も丁寧に重ね合わせたグラデーションの筆致が確認できます。余白とのバランスが日本的な美意識と感じませんか?
3部屋目:水玉の女王は水玉だけではない!【草間彌生】
今回はどの部屋でも初期作品から最新作まで見ることができます。ニューヨク時代に描かれた白一色の網模様ウネウネ作品から観れるのは貴重です。展示作品が少ないのが残念ですが、時代ごとの代表作品が網羅されているのではないでしょうか。
赤いバックに黄色い円が描かれている作品は有名サラリーマンコレクターが最初にコレクションされた作品ですね。ドドーンと飾られています。ずっと眺めていると作品に吸い込まれていきそう…
ちなみに赤い船、椅子、ハシゴに突起物がありますが何を象徴しているのか分かりますか?1部屋目に展示されていた《マイ・ロンサムカウボーイ》が握っていたものです…草間彌生さんは恐怖を克服するため苦手なものをストッキングで制作し増幅させたようです。
あっ、1作品だけ撮影不可なおインスタレーションが入って左手にあるのでお見逃しなく。こちらも無限増幅をテーマにした作品です。箱を覗き込む作品のため、スマートフォンなどを落とすことないように撮影禁止にしたとか。
少々長くなってしまったので、残りの作家さんは次回ご紹介いたします!
展示会情報
森美術館館長の片岡真実さんが展覧会の見どころを解説している動画がYouTubedで公開されております。予習がてら閲覧されてはどうでしょうか。
会 期:2020.7.31(金)~ 2021.1.3(日)会期中無休
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
会 場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
料 金:一般 2,000円 / 学生(高校・大学生)1,300円 / 子供(4歳~中学生)700円
シニア(65歳以上)1,700円
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